詩人たち ユリイカ抄

 小沢書店の社長であった長谷川郁夫さんは、社長であったときに伝説の出版社
ユリイカ」の社主であった伊達得夫さんの評伝をあらわしています。
「われ発見せり」というものですが、86年2月号の「新潮」に一挙掲載されて、
それからややたった92年6月に書し山田から単行本となったものです。
この本のあとがきをみますと、新潮社からの出版のために尽力してくれた編集者が
なくなったとありますので、新潮からの刊行は実らなかったのでしょう。
この単行本の帯には、「伊達得夫とは誰か?」とあります。この時代は、今よりも
知られていなかったでありましたでしょう。
 小生が学生のころに、日本エディター出版部から伊達得夫「詩人たち−ユリイカ抄」が
でて、この伝説の版元の主人についてしることになったのです。この元は、伊達を
追悼するためにユリイカにゆかりの詩人たちが編纂して刊行したものですが、
歴程賞かを受けたとありました。(この元版なんて、見ることもないのですが、
古本ででたら、どのくらいの値段がつくのでありましょうか。)
 今ではユリイカの出版物であるというだけで値段が高くなってしまうのですが、
こういうのは、貧乏画家の作品が死後に評価があがって、値段が高く売買される
のに近い話であります。
 ちなみに小生のもっているユリイカの本で一番のものは、「岩田宏詩集」で
ありました。
伊達得夫「詩人たちーユリイカ抄」は、いまでは平凡社ライブラリーにはいって
おりまして、簡単に手にすることができたはずです。伝説の「ユリイカ」に興味が
わきましたら、ぜひともこの本をご覧ください。
 小沢書店の長谷川さんが、この伊達さんの仕事に、自分のものを重ねていたのは
間違いがありません。(どうして、小沢書店はつぶれたのでしょうか。単に売れな
かっただけでしょうか。どこかで、バブル投資をしたみたいな悪意にみちた文章を
みたような気もするのですが。)