軽井沢にゆかりの文学者といえば、いろいろと思いあたる人たち(どちらかというと
追分派)がいるのですが、町で管理している記念館といえば、堀辰雄と室生犀星のお二
人であるとのこと。堀辰雄といえば高原、軽井沢と頭に浮かんでくるのですが、室生犀
星さんは、ほとんどノーマークでありました。
室生さんは、昭和6年に軽井沢に山荘をもって、亡くなった昭和36年まで、夏は軽井
沢で過ごしたのだそうです。室生犀星さんの作品は、ほとんど読んだことがありません
ですし、不幸な生い立ちから、なんとなく貧乏文士であったように思っておりました
が、ベストセラー作家ではなかったかもしれませんが、今でいうところの旧軽井沢に
別荘を持つことができたのですね。もっとも、富裕層の人たちの別荘とくらべると建物
はぜいたくなものではないのですが。
そんなわけで、室生犀星さんの本を取り出してきました。当方がもっているのは、た
ぶん講談社文芸文庫「蜜のあわれ」のみであります。この文庫本は2011年のもので、帯
には「話題沸騰 NHKドラマ『火の魚』原作」とありますから、ドラマが作られて、そ
れで興味をもったのでしょう。
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (講談社文芸文庫)
- 作者: 室生犀星,久保忠夫
- 出版社/メーカー: 講談社
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の魚』に言及しておりました。( http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20120330 )
ここでも言及しているのですが、当方が「火の魚」を読んでみようと思ったのは、
この作品の登場人物のモデルが栃折久美子さんであるためです。このことは、文芸文庫
の解説にも書かれているのでした。
この解説から引用です。
「『火の魚』は昭和34年十月の『群像』に発表され、翌年三月に中央公論社から刊行さ
れた同名の作品集の巻頭に収められた。『蜜のあわれ』の箱の表には金魚の魚拓があり、
目次に続くところに『魚拓 炎の金魚 栃折久美子』としるされているが、『火の魚』
は栃折久美子の折見とち子が『蜜のあわれ』の装幀につかう見事な金魚の魚拓をとって
くれるまでの物語である。魚拓『炎の金魚』縁起である。」
この文庫には、軽井沢の生活で体調を崩して、東京に戻って入院にいたる経緯を綴っ
た作品もありました。これは読んでみなくては。
軽井沢高原文庫のショップで購入したクリアファイルは室生犀星の本の装幀を模した
ものがありまして、その一つは「庭を造る人」のものでした。こんな本があるんだと
思って、本日に検索をしてみましたら、なんとかのウェッジ文庫にはいっていました。
これはありがたい。さっそくこのウェッジ文庫版を確保することにしました。
- 作者: 室生犀星
- 出版社/メーカー: ウェッジ
- 発売日: 2009/06/19
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