家庭の平和

 本日のオリンピックゲームの結果を受けて、あちこちの家庭は喜びにつつまれて、
夜の食事もいつもより豪華になったりしましたでしょう。よかったよかった、この
平和がしばらく続いてもらいたいものであります。
 本日はオリンピックの中継などを見物する合間に本を読んでおりました。本日の
本は、最近教えられることが多い酒井啓子さんのちょっと古い岩波新書

イラクとアメリカ (岩波新書)

イラクとアメリカ (岩波新書)

 このところは、朝鮮半島に矛先が向くことが多いのでありますが、中東情勢はあい
かわらずでありまして、どなたかの言葉を借りれば、朝鮮半島では死人はでていない
ではないかであります。
 この「イラクアメリカ」は、2002年刊行でありますからして、USAによるフセイン
征伐前のことです。この本の最後まで、まだたどり着いてはいないのですが、その後
イラクフセインがどういう末路をたどるかは知っているのですが、それにしてもそ
こへといたる過程について、十年以上もたって興味をおぼえるとはです。
「(国連決議により)公的な貿易が禁止されるなかで、即座に輸入品を国内産業で代替
生産することができない以上、経済は陸路で行き来するヤミ交易に依存せざるを得ない。
その結果、社会の所得構造は大きく変化することになる。ヤミ経済を牛耳る商人たちが
国中で最も裕福な層となり、給与所得者は一挙に社会の底辺へと脱落した。最高権力者
親族間の『お家騒動』は、かなりの部分、ヤミ経済を巡る利権争いから発した感が強い」
 もちろん、上に引用したのは、イラクの話でありまして、イラクとかフセインという
言葉を消して、文章をつなげてみたものです。
 最近も良く耳にする話題であります。この時のUSAはイラク核兵器があるというこ
とで戦争をしかけるのですが、さすがにこの時の学習が生きているのか、朝鮮半島では
今のところ挑発はするものの、引き金はひかずでがまんを続けているようです。
 ちなみにこの本によると、「国連は制裁が継続することによる人道的被害の大きさに、
早い段階で気がついていた。そこで生まれたのが、『食料のための石油』という発想で
ある。これはイラクに一定の石油を輸出させて、その代金で国連活動資金と、イラク国民
にとって人道的に最低限必要な食料や医薬品の購入を賄うという案であった。」とありま
す。
 朝鮮半島の共和国には外貨獲得のための戦略的な物資は、ほとんどなさそうであります
が、フセインと同じ運命をたどるのか、それとも着地点を見出すことができるのか。
頼りは国境を接する両国でありましょうか。