探すよりも買うか

 このところ読んでいるトーマス・マンの「ブッデンブローク家の人びと」は、ずい
ぶんと昔に買って未読できているものです。奥付をみますと、昭和47年2月20日第三刷
とありますので、たぶんその頃に購入したものでしょう。これまで何十年も陽の目を
みることもなかったのですが、やっとこさ読めそうな雰囲気になってきました。
(本当に、二十代には読めなかったものが、あらま不思議であまり抵抗なく読むこと
ができるというのは、どういう具合によるものでしょう。)
 物置においてある文庫棚の岩波文庫がはいっているところから、抜き出してきたの
ですが、そこには上中の二冊しかささってなくて、下巻が見当たりません。たしか
まったく別なところでみたような記憶があるのですが、どこにはいりこんでいるもの
かです。
 まだまだ下巻にたどり着くまでには時間がかかりますでしょうから、探すための時
間はたっぷりあるのですが、見つからないときのためを思って、ネットで中古本をあ
たってみましたら、10円という値段ででていました。送料を加えても300円ほどですか。
 これなら、わざわざ探さなくてもいいかなと思ってしまうことです。それよりも何
よりも、このようにして入手できるのであれば、置き場所がまったくないのに保存して
おくことに意味があるのかと思うことであります。
 もちろん文庫本といっても、えらい高額なものや、その後高額になるものもあること
から、そのへんの見極めができなくては、行動に踏み切ることができないのですが。
基本的にたくさん売れているものは、安くなるという理屈ですが、もともと売れている
ものは、ほとんど持っていないからして、悩ましいことでありますね。