南から北へ

 先日まで東峰夫さんの作品を手にしておりました。文庫に収録されている「ちゅら
かあぎ」を読んでいましたら、その後の東さんの人生に重なるところが多くて、すこ
し辛くなることでありました。
 本日には新潮「波」11月号が届きまして、これを手にしていましたら、養老孟司さん
の文章が目に入りました。「言葉にならないものの豊かさ」ということで、松家仁之
さんの新作「光の犬」を取り上げています。

光の犬

光の犬

 どうして「波」編集部が養老さんに、「光の犬」の紹介を依頼したのかと思いますが、
これはこの作品の舞台が「北海道の田舎町」ということによるもののようです。
 養老さんは、次のように書いています。
「舞台は北海道の田舎町。家内の実家がまさにそうで、家内の弟が名寄で実家を継いで
いる。家内の家族の話だと思っても感覚的に不思議はない。雰囲気がそのまま通じてしま
う。」
 養老さんは北海道が好きで、意図したわけではないのに北海道出身の知人が多いとあり
ます。奥様もどうしてか北海道出身で、いつのまにか北海道の贔屓になっているとのこと
で、これは初めて知りました。
 松家さんの「光の犬」は、書店で見かけたら入手しようと思っていた一冊なものですか
ら、養老さんのこの文章を目にして、10月31日発売と記されているのを見ましたら、こ
れはひょっとして書店に入荷しているかもしれずと思いました。
 そんなわけで、本日に外出の時に、行きつけの本屋に立ち寄ってみましたら、めでたく
これを見つけて購入です。
 いまだ、冒頭の一章を見ただけですが、この先読みすすめるのが楽しみなことです。
 「沈むフランシス」を読んだ時に、松家さんは北見から網走あたりの事情に明るい人で
あるかなと思ったのですが、今回の作品もどうやらそのあたりをイメージしているようで
ありまして、北海道人が読みますと遠軽あたりの風土を思い浮かべるようになりです。
ひょっとして、松家さんの父上かは、このあたりの出身であるのでしょうか。