先日のブックオフで

 先日のブックオフでは池波正太郎さんの「散歩のとき 何か食べたくなって」と
あわせて購入したのは、他に二冊ありでした。
 一冊は、小さな地元の出版社 一耕社からでた文庫本サイズの「樽前山花日記」と
いう近郊の山についてのもので、「『樽前山の自然を愛する会』による植物調査や
トロール日誌、また会員の観察記録の一部を、日記ふうにまとめたものです。」と
まえがきにありました。
 この樽前山は市街地からそう遠くなく、しかも七合目までは車であがることができ
ることもあって、初心者でも楽しめる山として人気で、休日ともなると大賑わいとな
ります。(もちろん冬には近づくことが難しくなるのですが。)
 この山で「ネジバナ」を見つけたことで、次のように書かれます。
「本来は明るい草原や湿原、また、ある程度人手の入った場所を好む。まちの中の駐車
場の脇の草むらや造成地、芝生などでも見かけることがあり、『人里植物』だという。
登山路沿いに見られることから、オオバコのように登山者の靴の泥などと一緒に種子が
運ばれてきたのかも知れない。」 
 ネジバナが登山路で見られるというのは、いいことであるのかどうかですね。これを
そのままにしておくのか、除去してしまうのかが悩ましいことですが、最近の傾向と
しては除去することになるのでしょう。
 しかし除去といっても、徹底してやるのは非常にたいへんなことです。別なところに
は、次のようにありです。
樽前山にコマクサが見られるようになったのは1980年代後半から。それまでの観察で
も、過去の文献にも、樽前山でのコマクサの記録は見られない。人為的に植えられた
外来植物として環境省が1996年に除去。しかし再び見られるようになった。」
 樽前山は、国立公園のエリアにありますので、環境省がのりだすことになったわけ
です。この「花日記」が刊行となったのは2005年ですから、最近の植生の状況はどう
なっているのでしょう。
 貴重な生態系といえば離島でありますが、最近に話題となっているのは「リシリヒナ
ゲシ」のことでありますね。
 リシリヒナゲシ利尻島の固有種なのですが、利尻島へと行きますと売店でこれの
種子が販売されており、園芸店では苗となって売られています。かっては、島内にこの
花を増やそうとして種がまかれたということですが、その種は、固有種のものではなく、
千島のほうで植生する亜種で、外見では見分けがつかないそうです。利尻島の生態系
を守るためには、この亜種を除去しなくてはいけないとなりますが、これは非常に大変
なことです。
 当方の庭にも園芸店で求めたリシリヒナゲシがありますが、たぶんこれは亜種のほう
でありましょう。