気になる本 2

 昨日に続いて、気になっている本「狂うひと」についてであります。

狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ

狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ

 昨日に市内の本屋へといきましたら、どういうわけかこの本が入っていて、手にす
ることができました。これをえいやっと買うか、それとも買わずにすますかと、しば
し立ち見をしながら迷っていたのですが、次回この本屋へと来たときに売れていなけ
れば、買うことにしようと思いました。(本音では図書館から借りて読むことができ
れば一番よろしいと思ったのですが。)
 この本のことを取り上げている新潮社「波」11月号に掲載の著者梯久美子さんと
司修さんの対談のことを話題にすることとします。
 この対談から梯さんの発言を、つなぎあわせて紹介です。
「初めてミホさんにお会いしてから十一年になります。評伝を書くことを了承していた
だいて、奄美に通ってインタビューをしていたのですが、途中で取材を中止してほしい
と言われてしまったんです。私としては取材はうまくいっていると思っていたので、突
然のことにショックを受けました。でも、思い当たる理由がないわけでもなかったんで
すね。それがのちに、ミホさんの人生の謎を解くカギになっていくんですが。で、取材
を断られた一年後にミホさんは亡くなってしまわれました。その後、改めて評伝を書き
たいと思って、長男の島尾伸三さんに相談したところ、協力していただけることになっ
て、そのとき『きれいごとにしないでくださいね』と言われました。その一言があった
から、この本を書くことができました。
 実は書き終えた今でも葛藤がないと言えば嘘になります。ミホさんが存命だったら書
いてほしくなかったであろうことを書いてしまいましたから。没後に山のような未公開
資料が出てきてわかったんですが、ミホさんには隠していたことがたくさんあった。
私には、作家としてのミホさんをもっと大勢の人に知ってほしい思いがありまして、
そのためには彼女が真情を吐露した日記やメモ、発表しなかった原稿などを取り上げる
ことがどうしても必要でした。私がミホさんに興味を持ち、会って話を聞いてみたいと
思ったのは、『海辺の生と死』と『祭り裏』という著作を読んだことからです。
『死の棘』に書かれた『狂乱する妻』が、実はこんなにすごい作家だったのかと心底
驚いたんですね。」 
 梯さんのスタンスは、作家島尾ミホさんのことを大勢の人に知ってほしいというとこ
ろにありですから、当然のこと島尾敏雄さんには厳しいようであります。
島尾ミホさんの「海辺の生と死」は、その昔に文庫で読んで驚いた記憶がありです。
これを機会に、またこの本を読んでみることにいたしましょう。
祭り裏

祭り裏