本の虫干し 2

 本日はいよいよ地下の室においたままになっている本の救出作戦です。家を建てる
時に、すこし大きめの室を確保しました。高さは1.5メートル弱で、三畳分くらいで
しょうか。ダンボールに詰め込んだままの本とか、各種のパンフレット、それにいつか
切り抜きしようと思っていた新聞とか、ほんとがらくた倉庫であります。
 これがあることで、出版社のPR誌などが捨てられずに残っているということになり
です。雑誌でいうと「本の雑誌」の古いやつとか「暮しの手帖」、いまは廃刊となった
と思われる「ASAHI パソコン」なんていう雑誌も何冊か残っていました。
 本日は雑誌は、そのままおいておくにして、ここにある単行本とか文庫本をここから
救い出して、おひさんにあてることとしました。
本のなかには、湿気のためにぶよぶよとなっているものがあり、なかでも箱に入って
いるものには、箱から抜けないものや、やっとこさで抜いてみたら、かびているもの
などもあって、これはいかんであります。
 ベランダに本をならべて、箱を乾かし、湿ってしまったパラピンをはがし、表紙の
クロスにカビがはえているのは湿った雑巾でぬぐってきれいにしました。とにかく、
マスクもしないで作業をしているものですから、カビの菌をいっぱいに吸い込むことと
なりました。
 当方もしばらくは、ひなたぼっこをしながら、本日救出した本を読んでおりました。
それこそ未読四十数年というものがありましたので、これを手にして、そのなかから
いくつかの短編をです。
 アマゾンのリンクはないようですが、岩波「荷風全集」第三巻(1971年刊行)とな
ります。収録されているのは、「あめりか物語」と「ふらんす物語」。恥ずかしながら
今回はじめて読むことになりですが、百年以上も前に書かれた文章とは思えないことで、
非常に読みやすい。それにしてもこの時代にアメリカとかフランスへといくことができ
た人というのは、どういう階級の人であるかな。