昨日に引き続きでつまみ読みしている山辺健太郎さんの本からであります。
昨日に引用したところに続きの部分となります。
オルグをしていた山辺さんが「いい年をしたおやじたちをつかまえて、お説教を
するのだから、とうてい聞き入れられるはずはない」というくだりがありました。
山辺さんは、小学校を終えてから丸善に店員見習いではいって、頭角をあらわす
のですが、それをやめて工場勤務などをへて、オルグの道へとはいります。
二十歳くらいでオルグにはいったときに、現場のおやじさんたちは、まるで聞く耳
をもたなかったとのことです。
それじゃ、当時のリーダーさんは、どうであったのかということで、西尾末広さ
んのことになります。
「西尾末広さんかは大阪でも指折りの熟練工だったんですよ。そうでなければ工場
では一人まえの口がきけないんです。これはいまの活動家、左翼の労働運動家とは
違います。連中は口ばっかり達者で腕のほうはさっぱりだ。むかしは腕がみんな一
流なんですね。大阪を渡りあるいていたから、西尾なんか、どこの誰とみんなが
知っているような人物だったのです。そんな人が言わなければ組合なんかできる
もんじゃない。私はそんなこと知らずに、やたら、年とった労働者にお説教をして
いたんで、組合なんてできるはずないですよ。」
今から四十年前の本でありますので、いまの活動家というのは、その時代の人た
ちであります。労働組合の話でありますが、それに限らず、いろんな組織で、これ
はいえる話であるのかもしれません。それから四十年で、状況は改善されているの
かといえば、これがどうもそうではないようであります。
そんなこんなことを思っていましたら、知人が、これを読んでみてといって、本
を貸してくれました。
- 作者: 熊沢誠
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総活躍とか、同一労働同一賃金、企業にたいして賃上げ要請というのが、最近の
政府のかけ声でありますが、そんなことはあんたたちにいわれたくないねという声
が、もっと働く側からあがってもよろしいのではないか。