足踏み続く 2

 毎日のように手にしてページを開いているにもかかわらず、なかなかページを稼ぐ
ことができていないのがエルヴェ・ギベールの「赤い帽子の男」です。

赤い帽子の男

赤い帽子の男

 この小説家については知るところがなかったのですが、「ぼくの命を救ってくれな
かった友へ」という小説のタイトルは眼にしたことがあるようです。これの翻訳が
でて20年もたって、この作者に興味がわきました。
 それはもちろんギベールの作品を堀江敏幸さんが訳していたからであります。堀江
さんがギベールの「赤い帽子の男」を翻訳していたことも知りませんでした。これま
で堀江さんの「子午線を求めて」を購入していたのですが、これの巻末におかれた
「下降する命の予感」という文章は、「赤い帽子の男」の訳者ノートとして書かれた
ものでありました。この作品の翻訳がでたのは、1993年11月のことで堀江さんのほと
んど最初の翻訳のようです。
 このことを意識するようになったのは、関西旅行のときに立ち寄って手にした堀江
さんの「仰向けの言葉」をのぞいたからです。
仰向けの言葉

仰向けの言葉

 旅行中の古本市で「赤い帽子の男」を購入し、自宅に戻ってから「仰向けの言葉」
を入手することができました。
「仰向けの言葉」では、小平林檎園に言及している「スターキングはもう作られて
いませんと彼は言った」という文章を、まず読むことにしようと思ったのですが、
これには、「赤い帽子の男」に登場する人物についてが取り上げられていました。
 これは、ギベールの小説を読むのが先だなということで、ここ数日は「赤い帽子
の男」を手にしているのですが、もっとピッチをあげなくてはいけません。