本日から関西シリーズ

 本日から関西シリーズであります。
 午後の便を利用して大阪にはいりました。これからすこしの間、関西をうろうろと
しております。
今回もちょうど四天王寺の古本まつりの時期でありまして、これの会場に足を運ぶ
ことができそうです。本日は秋晴れのお天気でしたが、しばらくはお天気が続くこと
を期待しています。
 本日の旅のともは、次の本でありました。

宇沢弘文のメッセージ (集英社新書)

宇沢弘文のメッセージ (集英社新書)

 宇沢弘文さんの初期の論文は、専門家であっても理解するのに難渋するというもの
でありまして、とうてい当方が手にするようなものではありません。宇沢さんの名前を
親しく感じるのは、岩波新書に「自動車の社会的費用」などの著作を残されたことに
よります。
自動車の社会的費用 (岩波新書 青版 B-47)

自動車の社会的費用 (岩波新書 青版 B-47)

社会的共通資本 (岩波新書)

社会的共通資本 (岩波新書)

 岩波書店の編集者(のちに社長となった)大塚信一さんは、岩波新書の担当であった
ときに担当したものであったとのことです。大塚さんは、山口昌男さんと結びつきが
きわめて強いということは承知していましたが、そのほかにも多くの学者さんの担当
をしていたことをしりました。(今さらでありまして、「理想の出版を求めて」を
読んでいるのですから、忘れているのであります。)
理想の出版を求めて 一編集者の回想1963-2003

理想の出版を求めて 一編集者の回想1963-2003

 宇沢さんが、「数理経済学」をひたすらにやっていたら、ノーベル賞に手が届くと
いわれていましたが、途中からは道を外れて、現実社会とかかわることに傾注しまし
た。それによって、経済学者 宇沢は、ノーベル賞への道を自ら閉ざしたのかもしれ
ません。
 そうまでして取り組んだのが「『成田』問題」であります。まさに火中の栗を拾う
という行動でありまして、今となっては宇沢弘文さんの面目躍如であります。
 大塚さんは、宇沢さんが「経済学とは何か」のあとがきに書いている、次の言葉を
紹介しています。
「経済学者が、その生きたときどきの時代的状況をどのように受けとめ、経済学の理
論の形に昇華させていったか。」
 宇沢さんの行動は、この言葉の実践であり、その姿勢に大塚さんは感動したとの
ことであります。