本日手にしていたのは、古い文庫本でありました。
- 作者: 高田宏
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 1992/03
- メディア: 文庫
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ていた高田宏さんの本です。もちろん高田さんは、その後独立して文筆家となられ、
多くの著作を発表されています。
大学を卒業したが希望する就職試験に落ち続け、これはすでに内定を受けている教員
になるしかないかというところで、光文社の試験を受けて合格したところから、話は
始まります。
入社は1955(昭和30)年4月となります。この時の光文社は、講談社ビルの5階に間
借りしていて、社員は全部で六十数名とあります。
少女雑誌の編集部に配置され、仕事をすることになるのですが、「しかし、だんだん
鬱屈が、減ることなしにたまって」くることになります。
おりしも時代は1960年をむかえます。
「時代そのものが、暗くよどんでいた。一見はなやかでいて、どこか投げやりな、ダル
なものが流れていた。
そういうときに起こったのが、『六十年安保』だった。私も友人たちも、とつぜん、
からだに血が流れだした。よどんでいた血が、音を立てて、渓流の水のように流れはじめ
た。酒で濁った頭が、急に軽くなっていった。アンポハンタイの国会デモのなかで、
古い友人たちに会った。みんな陽焼けして生き生きしていた。関西にいるはずの友人が、
通りがかりのデモの列にいて、手を振ってきた。
六十年安保は、私を(私たちを)底なしの泥沼から引き上げてくれた。」
六十年安保条約への反対闘争は、全学連を中心とする運動で有名になっていますが、
もちろん学生だけでなく、いろんな人たちが反対運動に参加していたわけです。
高田さんが加わる組合も、反安保行動への取り組みを中心にすえて、活動を行っていく
ことになりです。