目下旧聞篇 4

 本日も「目下旧聞篇」の話題であります。とはいっても、本日はあれこれと野暮用
がありまして、これに収録の章を読むことができておりませんです。
 昨日にこれに収録の「若菜会」を読んでいたときのことであります。「若菜会」の
メンバーが「皇太子ご婚約記念読者優待券」を入手して映画館へと足を運んだときの
くだりです。
「果して場内は暗かった。やっぱり、だいぶおくれたにちがいなかった。満員という
ほどではなかったが、さりとて空席がすぐに見つかるというほどでもなかった。・・
いずれにせよ、彼女たちは同時に席をさがし、同時にエクランを見なくてはならな
かった。暗いので、足もとがあぶなく、低い段々をふみはずし、よろよろとよろめい
た。」
 これを見て、「エクラン」という言葉がわからずで?でありました。小さな辞書に
はのっていなくて、検索をかけましたら、フランス語では「宝石箱」とありました。
この文脈で「宝石箱」はないよなと、「広辞苑」をみましたら、映写幕とでていま
した。ネットで検索しても「映写幕」から転じて「映画」のこととありました。
 たぶん、この作品が書かれた頃にも「エクラン」というのは、そんなに使われては
いなかったのではないでしょうか。今でしたら、スクリーンというところでしょう
か。エクランとスクリーンというのは、ほぼ同義語なのかな。
 当方はエクランなんて言葉を知らなかったのですが、佐世保には「佐世保エクラン
東宝」という映画館があったとのことです。佐世保の人には「エクラン」という言葉
はなじみのものであったでしょう。