目下旧聞篇

 本日は、長谷川四郎さんの「目下旧聞篇 きょうかたるきのうのこと」を手にして
おりました。これは平野甲賀さんの「きょうかたるきのうのこと」のおかげでありま
す。平野さんの本がなければ、本日、これを手にすることはなかったでありましょう。
 まずは平野甲賀さんの本のあとがきからです。
「『趣味の思想』という、ぼくにとってまことに都合のいい名言を遺してくれた小野
二郎先生には特記して感謝しなければならない。ウィリアム・モリスの研究者であっ
た先生の思想を、たぶん完全に理解しえたわけではない、指先から頭への一元的な運
動を、これまた長谷川四郎氏の名言の『物を見てかく手仕事』と、とらえ、この本の
題名にさせていただこうかと思ったが、さらにもう少し前に『目下旧聞篇』(1963年
未来社)という奇妙な著書があり、その読みとして『きょうかたるきのうのこと』と
いう言葉があった。そこで、この平明さが、もっともふさわしいのではないかと思い
直した。またもや、なんのことわりもなく頂戴することにいたしました。どうもすみ
ません。」
「なんのことわりもなく」といっていますが、さてだれにことわればよろしいかで
あります。「どうもすみません」といっていますが、これによって当方は長谷川四郎
さんの本を手にすることになったのですから、かえってかえってです。
 1963年に未来社からでた本は、このような箱入りでありました。


 上の赤いのが表側で、下の青いのは裏側となります。青いほうは裏焼きとなって
いて、鏡文字であります。
 長谷川四郎さんの作品、この時期はかなりわかりにくいものとなっていまして、
ちょこっと読んでもちんぷんかんぷんであります。