時代劇の世界 

 映画の時代劇はじり貧となっているのでありますが、時代劇映画は若き研究家 春日
太一さんが登場して、これまで以上に盛りあがっているようです。
春日さんのことは、昨年の1月に新聞書評欄でその著書が取り上げられたこともあって、
その時に話題としておりました。
 当方のこどもとほぼ同年でありますが、このような書き手が登場するとは思っても
みませんでした。この春日さん、かなり厳しい批評家の方々も、エールを送っていま
すので、その分野では期待の星なのでしょう。
 昨年の秋には、次のものがでておりました。

なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書)

なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書)

 坪内祐三さんは、この本を、昨年の新書ベスト3に選んでいたようです。
 これに先だって2008年にだしたものが、大幅増補されて、この度文庫本となりまし
た。順序としては、こちらを先に読んだほうがわかり良いかもしれません。 当方の子ども時代は、祖母に連れていってもらう映画といえば東映時代劇でありま
して、大船松竹の映画は子どもが見るものではなかったですね。
春日さんの河出文庫によると、当方の子ども時代は、次のようになります。
東映片岡千恵蔵(注 息子さんは、現在日本航空の社長です。)、市川右太衛門
の<両御大>を中心に中村錦之助萬屋錦之介)、大川橋蔵らの錚々たるスターを
並べた時代劇を量産、1956年に50億8673万円という邦画界の年間配収記録を打ち立て
ると、着々と製作本数を増やし60年には年間100本を製作、毎年のように年間ナンバー
ワンヒット作を生み出すなど、映画興行界を牽引していく。」
 日本映画の黄金時代であります。当方は田舎でくらしていましたが、祖母のところに
遊びにいきますと、近所にあった東映の二番館につれていってもらいました。
いまとは、まったく違う娯楽のありようです。