時代劇の世界 2

 日本の映画が娯楽の中心であったのは60年代半ばまでであったようです。それはまた
時代劇映画の黄金時代でもありました。このあと娯楽の中心はテレビの世界にうつるの
ですが、テレビの人気番組には時代劇ドラマがありましたが、テレビの時代劇を作った
のは、映画の世界で生きてきたベテランたちでありました。
 全盛期の映画の世界で育ってきた映画人たちにとって、テレビの製作現場というのは
二つも三つも格下の世界であり、使える予算も桁が違ったでしょう。
テレビの世界に移ったスタッフの心意気について、春日さんは、次のように書いていま
す。
「そこにはテレビ時代劇の先駆者として、一度は滅びた東映時代劇の新たな地平を切り
開いていこうという気概=フロンティア・スピリットが息づいていた。そしてその強い
思いのぶつかりあいが、新たな時代劇の歴史を築きあげる上げることになる。」
 ということで、これから50年が経過しましたので、映画界から転身した方々は、ほぼ
引退し、その人たちが育てたスタッフが作っているのでしょうが、かっての映画がそう
であったように、テレビもまた娯楽の中心の座を明け渡しそうであります。
そうしたなかで、一番先に整理されているのは、金がかかって視聴率のとれない時代物
のようであります。