読書アンケート特集 5

 みすず「読書アンケート」特集で訃報を知ったりすることがあります。
 昨年は、アンケートに回答をする時点では健在であったのに、刊行時には亡くなって
いたということがありました。今年は、そのような方はいらっしゃらないようですが、
昨年回答を寄せていて、ことしは追悼されている方がありました。
 山田稔さんが取り上げています松尾尊よしさんでありますが、山田さんは、松尾さん
の旧著を読み返すことで追悼の意を表したとありました。
 この読書アンケートで初めて知った訃報、記していますのは富士川義之さんでありま
す。取り上げている本はボルヘス「永遠の歴史」筑摩叢書となります。
「十月に急逝した畏友を偲んで再読した。土岐恒二氏は英文学者であるとともに、
ボルヘスコルタサルなどのラテンアメリカ文学の優れた翻訳者としても活躍した。
若年の頃のボルヘスが書いたこの形而上学的なエッセイ集の翻訳は、おそらく土岐氏
代表作となるであろう。」
ウィキペディア」に土岐恒二さんの紹介があるのですが、これには没年の表示があり
ませんでした。亡くなったことは、新聞などで報道されなかったようです。当方は
眼にした記憶がありません。検索をかけてみましたら、「都立英文科を支えた土岐名誉
教授がなくなった」というツイートがみつかりました。
 当方にとって都立大学英文科といいますと篠田一士さんであります。土岐さんは、
その愛弟子でありまして、富士川さんの紹介にもありますように土岐さんがラテンアメ
リカ文学の翻訳をするようになったのは、篠田さんの影響であります。多忙な篠田さん
にかわって翻訳をこなし、篠田さんの解説とあわせて刊行されたものを購入しており
ました。都立大学英文科といえば、篠田さんのことを思いだし、その弟子にあたる
土岐さんのことが頭に浮かんでくるのですが、都立大学とは首都大学東京のことでは
ありませんね。