本が本をよぶ

 お正月行事がひととおり終わって、本日は予定なしの日曜日となりました。
 予定ではすこしまとまった読書をするという意気込みではありましたが、あけてみま
すと、見事に計画倒れであります。
 それでも年の初めの読書は、日頃親しんでいる著者のものの再読からということで、
手にしたは、林達夫さんの岩波文庫で、ついでは小沢信男さんの「東京骨灰紀行」と
なりました。

東京骨灰紀行 (ちくま文庫)

東京骨灰紀行 (ちくま文庫)

 さて、このなかからどこを読んでやりましょうかと、目次をみて決めたのは築地を
とりあげた「つくづく築地」でした。これにしたのは、昨日にTVで「ブラタモリ」を
みたせいでしょうか。(あの「ブラタモリ」で一番印象に残っているのは、真空管ラジ
オのTシャツをきていたおじさんでありますね。相当コレクションがあるようで、古い
モトローラの移動式電話をタモリにプレゼントしていましたです。かってモトローラ
に勤めたいたとか。)
 小沢さんの文章では、次のところに反応していました。
慶應義塾発祥の碑の斜めうしろに、もう一つの碑が立っている。黒御影と赤御影の
二枚の石板が、屏風のようにくの字にならぶ。右の赤い石には『解体新書』中のスケッ
チ風な人体図が、左の黒い石には『蘭学の泉はここに』と題する碑文が刻まれている。
・・・・・『解体新書』は蘭書翻訳の先駆けとなり、刊行されるや大いに世に益した。
だが、回想録『蘭学事始』は、杉田玄白八十三歳の晩年にしるされ、伝写により有志
の手元にわずかに在るのみであった。天災や動乱にまぎれてあわや湮滅のところを、
明治二年、木版刊行を斡旋したのが福沢諭吉でした。以来、本書は江湖にひろまり、
おかげでわれわれは岩波新書で容易に読める。その文庫本の校注者が緒方富雄、碑文
の筆者です。」
 このくだりを読んでから、外出して、ことし初めての本漁り(ブックオフ)を行った
のですが、本が本を呼ぶでありました。
 まずは本日の全収穫であります。(もっと買ってもいいと思ったものはあったのです
が、置き場所がです。ちなみにすべて108円 )

 写真の左から二冊目にある薄い岩波文庫青帯が「蘭学事始」であります。古い岩波
文庫とほとんど新品のようにきれいな旺文社文庫があり、昨日まで話題の中島京子さん
の文庫本と、こいつは初回から縁起がよろしです。