最近買った本など 2

 深沢七郎さんの「北海道放浪エッセイ」が収録されているのではないかと、尾辻克彦
んが記していた「言わなければよかったのに日記」であります。

言わなければよかったのに日記 (中公文庫)

言わなければよかったのに日記 (中公文庫)

 尾辻克彦赤瀬川原平)さんの文庫解説を見ますと、この北海道放浪のエッセイを読み
たくなります。どこにあるのかなと思いまして検索をしましたが、ちくま文庫深沢七郎
コレクションに収録されているようです。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480427854/
深沢七郎コレクション 転 (ちくま文庫)

深沢七郎コレクション 転 (ちくま文庫)

 尾辻さんの解説は、ほとんど「北海道放浪エッセイ」への誘導のようなものでありまし
て、この尾辻さんの文章を目にしますと、「放浪エッセイ」を読んでみたくなります。
ちなみに、この「言わなければよかったのに日記」の元版が刊行されたのは、昭和33(
1958)年のことで、版元は中央公論社でした。
 北海道を放浪するのは、この二年後くらいになりますが、原因となったのは筆禍事件で
ありまして、深沢さんの小説を掲載した「中央公論」が批判を浴びて、いわゆる「風流
夢譚事件」となるわけです。
 尾辻さんの解説の引用です。
「ご承知のように深沢七郎の『風流夢譚』は政治陣営からの襲撃事件を引き起こし、一人
の命が失われる。そしてその地球の大きさの穴を抱えて、深沢七郎は放浪して北海道に
たどり着き、無人の浜辺でハマナスの花びらをちぎってポケットいっぱいにつめている
ところで見知らぬチンピラと友だちになったりする。何だかこのときの深沢七郎から見る
透明度は凄いと思うのである。」
 寒々とした無人の海辺でハマナスでありますが、ハマナスの花というのは、以下のよう
なものです。これの花びらを摘んでポケットいっぱいにいれるのでありますよ。
 
 最近の人にとっては「ご承知のように」であるかどうかと思いますが、当方の世代に
とっては、深沢七郎大江健三郎桐山襲という面々は、地下出版でしか読むことが
できない作品を発表した作家と記憶されています。