ブッキッシュな世界 3

 昨日にだぶり本で入手した池澤夏樹さんの「読書癖 1」であります。
 この本が刊行されたのは、1991年ですから今から23年も前のことになります。
この本に収録された文章が新聞に連載されたのは1988年で、池澤さんはその前年に
芥川賞を受けたばかりで、いわば新進の作家でありました。
 この本が刊行されたときには、「さる新聞で一冊の本を数百字で紹介するという仕事
を四年続いて」とありますから、書評家または本の紹介者としては、すでに実績があり
ました。(「さる新聞」の連載が、どのようにまとめられているのか、当方は承知して
おりません。)
 「読書癖」にまとめられた文章の発表の場となったのは、北海道新聞でありました。
北海道新聞という舞台は、自分が生まれてしばらく育った土地の新聞ということも
あって、気楽で書きやすかった。」とあります。
 池澤さんは、1945年に帯広市で生まれて6歳まで、ここで過ごしたといいます。
その後は、東京暮らしであったのでしょうが、母親が北海道にゆかりの方でありますの
で、特に親近感をお持ちなのでしょう。
 当方は、この連載を読むのを楽しみにしていたといいたいところですが、ほとんど
目にした記憶がありません。北海道では圧倒的なシェアを誇る新聞ですが、生来の
へそまがりのせいもあって、購読していませんでした。それでも日々記事のチェック
はしておりましたので、どうして記憶に残っていないのか、これが不思議であります。
 池澤さんのことを最初に知ったのは、現代ギリシャ詩人の翻訳者としてでありました。
大学は理工学部に籍をおいて、理系の本を良く取り上げるので、これは当方の趣味では
ないと思ったのかもしれません。