月の初めに 2

 「みすず」表紙裏に掲載の小沢信男さんの連載「賛々語々」は43回となります。
今月は「発句」(?)は、次のものです。
  初刷の刷りあやまりし表紙かな 万太郎 
 久保田万太郎さんのこの句は、俳誌「春燈」創刊号が出来たことをよんだものだ
そうです。そして、この「春燈」創刊号を小沢信男さんは手にして、巻頭にある
万太郎さんの句に魅せられることになるわけです。
  時計屋の時計春の夜どれがほんと 万太郎
 これに続いて、雑誌の表紙の話題になっていきます。「春燈」創刊号を手にした
若き日の小沢さんは、この俳誌の表紙に刷り誤りがあるのは気づかなかったと記して
います。
 最近の雑誌の表紙には、人の顔写真がよく使われているということから、顔は表紙
で、たとえばアメリカという国を雑誌にたとえると、表紙はオバマの顔かなという
ふうに展開していきます。
 それに続いてのところです。
「わりあい身近なところには、三代つづいて表紙の国もある身なりも髪形さえも父子
孫と相伝で、こうも表紙が変わりばえしないのも、傍目には退屈なようながら。その
多少は刷り替えの気配があったとなれば、退屈どころか物騒きわまる。専制王朝。
権力の本質を具現しているお国がらでしょうか。」
 わりと身近といいながら、これはこの国のことであろうと思いながらも、父子孫
とあって、あれっ当代の祖父は、頭は薄かったのではないか、髪形が似ているという
のは、おおおじさんのほうではないか、小沢さんはそれを取り違えたかなと思いま
したが、これはもちろん、当方の読み違えでありまして、これは「退屈な王国」と
いわれる半島の共和国のことか。
 なんとなく半島の共和国と、この国は似てきてはいないかな。小沢さんの最後の
ところでは次のようになりです。
「生まれながらの支配層であるお坊ちゃまが、特定秘密保護法案とか集団的自衛権
とか積極的平和主義とか、せっせと唐様で書いていらっしゃる国が、ごくごく身近
にありますなあ。」
 半島の国々も、この国もどこも二代目、三代目であります。まったくもって、
門閥制度は親の敵(かたき)で御座る」というのは、アジアの国々では今も続い
ているようです。