師走の話題 6

 小沢信男さんの書名となっている「捨身なひと」というのは、もちろん肯定的な
意味あいによってでありまして、それは装画を担当したミロコマチコさんの絵からも
伝わってくることです。
 バビルサというのは、「『最後には牙が頭に刺さって死に至る』とのうわさ話があり、
そこから『自分の死を見つめる動物』」ですが、これって人間のことであるのでしょ
うか。
 人類が生み出した原発にというのは、いかにもバビルサの頭に生えた牙のようでは
ないでしょうか。これは人類を救い、未来を明るくするものであるといってせっせと
育てていたのはいいが、人類の存在を危うくするものであったとわかった時には、
牙は頭にささりそうなところまできています。
 捨身でのぞむというのと、捨て鉢になるというのは違いますが、あとはないぞ捨身
だぞといわんばかりの現代日本の総理大臣には、「自分の死を見つめる」という内省
はあるのでしょうか。
 最近の本のタイトルを見ていましたら、「馬鹿な大将、敵より怖い」というものが
ありました。これはオーナー会社のぼんぼん跡取りが、会社をはちゃめちゃにしてし
まうようなことをいうのでありましょうか。

バカな大将、敵より怖い 武井正直講演録

バカな大将、敵より怖い 武井正直講演録

 そういえば、世界はいろんな国がありまして、王国ではないのに世襲によってしか
権力が継承されない国が近くにもありますが、この国などもしょぼいオーナー会社の
ように思えます。
 しょぼいオーナー会社というのは、どこか遠い国のことであろうと思っていました
ら、最近の日本国は、すっかりしょぼいオーナー会社の三代目か四代目社長の趣で
ありまして、かっては先代からの番頭もいたのに、いまはさながらなかよし倶楽部の
ようでありまして、けっして尊敬もしていない大将の力を利用してのしていこうと
いう輩ばかりのようであります。
 口をひらけばグローバリズムで、その実、極めて内向きで小心な人ということで
しょうか。本日の報道は「特定秘密保護法案」強行採決のことが大半を占めていて、
こんなに雑な国会は見たことがないということで、このような展開となってしまい
ました。