鹿島茂さんの「昭和怪優伝」はサブタイトルが「帰ってきた昭和脇役名画館」であり
ます。荒木一郎さんからはじまって全部で12名の役者さんたちでありますが、これは
鹿島さんの「偏愛俳優伝」ともいえるでしょう。
文庫になるにあたって追加された一章がありますが、これは高倉健さん(祝! 文化
勲章受章??)であります。もちろん、鹿島さんのことでありますので、「健さんが
脇役だったころ」というタイトルであります。
高倉健さんを含め13人となります。どのような人があがっているかは直接本にあたっ
ていただくに限りますが、当方がまったく目にしたことがない役者さんもいて、これ
には驚きました。その方は、ピンク映画で活躍した男優さんですが、当方はロマン
ポルノは何作かみたことはあるものの、ピンク映画はまったく未知のジャンルでありま
して、鹿島さんは、ここまでカバーしているのかと驚きました。
「私が、日活、東映、新東宝のろくでもないプログラム・ピクチャーを山のように見て
いたのは、この1パーセントの傑作を見つけるという隠微な楽しみのためだが、しかし、
正真正銘、掛け値なしに、100パーセントが駄作で、見るに耐える作品が一本もないと
いう驚くべきプログラム・ピクチャーが存在する。東映が1968年くらいから1975年に
かけて量産した東映ポルノというジャンルの映画である。
実際のところ、今日になって振り返ると、いったいなんの情熱を持って、あのくだら
ない、どこまでもくだらない東映ポルノにつき合っていたのだろうかと不思議に思えて
くるほどだ。」
ここまでいわれると逆に興味がわきませんでしょうか。引用したくだりに引き続いて
東映ポルノのタイトルが列記されています。
どうして、これらの作品を追いかけていたかについては、一人の女優さんのためであ
ありますが、もちろんこの女優さんは、脇役さんで、いまではほとんど知られていない
はずであります。
鹿島さんの、この女優をとりあげた第8章「生涯一エロ女優の心意気」をのぞいてみ
ますと、最近一冊にまとまった東映ポルノ路線の推進者の一人である鈴木則文監督の
著書を合わせて読んでみたらよかろうと思いました。
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さんが感謝をこめて文章を記している名和宏さんについては、どう思われたでしょうね。