木下順二さんの「あの過ぎ去った日々」にありました1940年徴兵検査の学力試験
を話題とします。
「興味のある人もいるかと思うので、すこしくどいが問題を写しておこう。」と
記していますが、当方は、学力試験があったことも知らないくらいでありますから
して、どのような問題があったのか興味おおありです。
ほとんど調べなくては答えることができないのですが、すこし回答を記してみる
ことにいたしましょう。
1 左の地名中皇軍の占拠せる地名に○をつけなさい。
これは、地名がでていませんの回答のしようがありませんが、たぶん、中国の
地名が列記されていたのでしょう。
2 左のもののうち肥料の三要素をなしているものに○をつけなさい。
「 鉄、硫黄、窒素、燐、カリウム 」
この問題が一番やさしいかもしれませんね。こどもころにチッソ、リンサン、
カリとならいましたです。
3 今年は神武紀元何年ですか。
1940年は昭和15年です。幻となった東京オリンピックの年でありまして、
これは皇紀2600年となりますので、たぶん神武紀元2600年でありましょう。
国を思ふ道に二つはなかりけりいくさの庭に立つも立たぬも
これは調べましたら、明治天皇とありました。
5 我国全版図の人口は凡そ何人ですか。
これはしらべてもいませんが、併合したような国の民もあわせての
ことになりますから、何人であったのでしょう。
今見たら7311万人とありました。
ウィキペディアの人口についての注には、この時代の国勢調査について
以下のようにありました。
「1940年(昭和15年)10月1日の国勢調査においては軍人・ 軍属等については
それらが海外にいるといないとを問わず、すべてその家族などのいる応召前の
住所で調査している。1944年(昭和19年)2月22日と1945年(昭和20年)11月1日の
人口調査においては、軍人・軍属等の人口が除外されている。また1945年
(昭和20年)11月1日と1946年(昭和21年)4月26日の人口調査においては、韓国・
朝鮮・台湾以外の国籍の外国人の人口が除外されている。これらの調査では
、敗戦前の日本国籍を有する外地人、敗戦後の韓国・朝鮮・台湾の国籍を
有する内地の三国人は外国人として扱われない。」
6 選挙権は何歳になったらあたへられますか。
答えは、25歳以上でありますが、これは男性に限ってのことでした。
7 赤化思想とは何ですか。
かってアカとよばれた思想のことですね。共産主義がその代表格でありますが、
一部 自由主義者もアカとよばれていたようですが、これも赤化思想となるので
しょうか。
8 国際連盟に入っていない強国を三つあげなさい。
最初から入っていないのはアメリカ合衆国です。日本、ドイツ、イタリアは
脱退組、ソビエト連邦は除名されていました。
9 教育に関する勅語の発布されたのはいつですか。
これは検索をしましたら、「1890年(明治23年)10月30日に発布され、
1948年(昭和23年)6月19日に国会の各議院による決議により廃止された。」と
ありました。敗戦後の昭和23年まで勅語は残っていたのですね。
10 あまつひつぎとは何ですか。
ほとんど聞くこともない言葉であります。
検索をしてみましたら、次のような記載がありです。
「天津日嗣(あまつひつぎ)」とは単純に「天照大御神の血統者」という意味ではあり
ません。「天照大御神の道統者」たり得てはじめて「天津日嗣天皇」なのです。
木下順二さんは、「寶祖」と表記し、これに「あまつひつぎ」とふり仮名をふって
います。
それにしても、本日の回答を作成するために、あちこち検索をしてみたので
ありますが、ふだんのぞくことのないところばかりでありまして、なかなか
勉強になることであります。それにしても、1940年というのは、当方がうまれる
10年ほど前のことですが、敗戦をはさんで日本が、まるでかわってしまったのは
間違いないですね。