未読率の高い著者

 気になって新刊がでるたびに購入したり、古本で集めたりするのだが、なかなか読む
ことができないのを未読または積読というとすれば、一人の著者ごとにまとめてその
未読の割合を図るのが未読率でありますね。もちろん、分母はこれまでに購入したその
著者の本で、分子には読んだ本がはいることになります。
 圧倒的に未読率が高いのは、明治時代から作品を発表して文豪といわれるような人
たちでありますね。とりあえず、インテリアのように個人全集を購入して、まったく
読めていないというのが、いくつかありますから、これの未読率は95%となります。
 文学の歴史のお勉強のような作家たちであれば、そういう購入もあったかと思い
ますが、同時代の作家については、そのような購入はしませんですね。購入の時点で
は、なんとか読んでやりましょうと思って購入して、なかなか読むことができずに未読
が増えていくということになります。
 これまで新刊がでるたびに、ほとんど購入したというのは小沢信男さんとか山田稔
さんなどがそうですが、このお二人は、どちらも著書数が少ないのでありますからし
て、購入するのも、ひととおり目をとおすのも、そんなに大変ではありません。
著書数がべらぼうに多い作家というのは、当方はあまり好まないのでありますが、同じ
ような作品を次々と発表するのであれば、ともかくとして、一作ごとに趣向を
こらした作品をだすということになると、どのようにして創作しているのだろうと
思ってしまいます。
 当方が好きな作家であれば辻邦生さんなどは、奥様から「たえず書く人」といわれ
るくらいでありまして、作品数は多く、長いものも多くあることから、長編のいくつ
かを購入して、いまだに読めていない作品がありで、これは気になる未読でありです。
 読むことができていない代表は、「西行花伝」「春の戴冠」「樹の声海の声」で
ありますが、考えようによっては、これからまだまだ楽しみが残っているということ
です。辻邦生さんの作品の未読率はどのくらいでありましょう。刊行された小説は
ほとんど確保しているように思いますが、未読率を算出するときには、ページ数で
だしたほうが正しいのでしょうが、これをするのはうんとたいへんでありますね。
しかし、タイトルでいくと、短い作品も長いものも同じ一冊となって、これは
ちょっと使えませんですね。