最近の雑誌から 5

 最近購入した雑誌といえば、次のものであります。

重松清いとうせいこうとのインタビューをまとめたものがトップであります。
 今回、いとうせいこう芥川賞の有力候補であったはずですが、いまさら新人賞でも
ないだろうということで受賞をのがしたようであります。広いジャンルで活躍をしてい
る才人でありまして、小説一筋というのでないのが選者にきらわれたのかもしれません。
( 関係者は、今回受賞することを相当に期待していたのかもしれません。)
 当方は、最近小説へのアンテナ感度が著しく悪くなっているので、いとうせいこうさん
の作品も読んでいないのですが、そういえば、「文芸ブルータス」に掲載されていたのを
ちらっと見たことがあったっけ。あらためてあの「文芸ブルータス」を手にしてみて、
これはなかなか良くできているぞと思うのであります。
 特集は「娼婦と文学」というタイトルですが、ここに福富太郎さんが登場するのが、
この雑誌らしいところでしょうか。福富さんは、キャバレーの経営者だそうですが、
経営する「ハリウッド」というお店がどのようなものであるのかは、当方はまったく
知りません。福富さんというと、浮世絵の大コレクターとして名前をしるだけであり
ます。
 福富さんの文章は「黒沢きみと永井荷風」というもので、永井荷風の小説に登場する
女性のモデルを特定する話であります。
「いったいどうしてこんなに夢中になるのかと思い、荷風全集や『断腸亭日乗』を買い
求め、読んだ。その後、それだけでは足らずに荷風と名のある研究書や本があると何で
も買い集めた。・・そんないきさつがあって私も荷風狂の一人になってしまった。
私は文学は解らないので荷風さんと関係ある女性を研究してみようと思った。それも
今までに云われている女性ではなく、新説を出してみせると思って挑戦してみた。」
 福富さんの業界人脈をたどっていけば、荷風さんがかよったり、お気にいりであった
女性にいきあたるという信念からの新説です。
それにしても、福富さんは徹底的に調べなくては気がすまないのでしょうが、それこそ
が良いコレクターとなる条件なのでしょう。