本日手にした本

 本日は車で移動して「佐藤忠良展」を見物してきました。生誕100年を記念しての
大規模な回顧展となりますが、昨年の佐川美術館でスタートして、いくつかの美術館を
めぐっています。佐藤忠良さんは、北海道にゆかりの彫刻家さんでありますが、作品の
ほとんどは、宮城県立美術館に収蔵されていて、ここのコレクションを中心とした構成
になります。
 たしかに生まれは宮城であるけれど、才能を開花させたのは北海道であるからして、
北海道にコレクションされていてもいいのに、これは残念なことです。
文庫になっている佐藤忠良さんの本は手にしているのでありますが、忠良さんが戦争に
とられて、敗戦後にシベリアへ抑留されたことは記憶に残っていませんでした。
作家さんや画家のシベリア抑留のことに関心をもっている当方としたは不覚でありま
した。
 本日の会場では、佐藤忠良さんの生前の創作の様子をうつした映像が流れていまし
たが、このなかでもシベリア抑留を通じて、いろんな人と接して人間の上等、下等に
社会的地位は関係ないといっていたことが印象に残りました。
 佐藤忠良さんの出世作「群馬の人」などは、昔の日本人の面影を残した人の像であり
まして、これは群馬出身の友人を丸刈りとしてからモデルに制作したものとありました。
その友人は岡本喬さんというそうですが、今回の展示にはその岡本さんが発表した本も
展示されていました。
 岡本喬さんは、忠良さんの子どもたちの先生で、「歴程」による詩人だそうです。
岡本さんの詩集「ヒメジオンの蝶」は、装幀・装画を佐藤忠良さんが担当しているので
ありますが、これの版元は「書肆ユリイカ」1958年9月とありました。このようなとこ
ろで「ユリイカ」の本を眼にしようとは思いませんでした。(この詩集は、エディター
スクール出版部からの「詩人たち」巻末にある出版リストにはのっていませんでした。
その後にはずいぶんと調査がすすんでいますでしょうから、いまは知られているのかも
しれません。)