神西清さんという方は気になる人でありますが、仕事で一番有名なのは、ロシア文学の
翻訳でありますが、岩波文庫にはいっているガルシン「赤い花」なんて、相当に読まれて
いるはずです。もちろんチェーホフも。
中公文庫にはいっていた「灰色の眼の女」は、いまでも安価で入手が可能なようです。
これなどもっと評価があがってもいいはずですが、これに収録されている作品は、次の
ようになります。
灰色の眼の女
船首像
跫音
雪の宿り
聖痕
白樺のある風景
ローザムンデ舞曲
ハビアン説法
表題作「灰色の眼の女」は、「埴生十吉が北海道の勤め口を一年たらずでやめて、
ふたたび東京へ舞戻ってきたのは192*と永いあいだ見馴れもし使いなれもしたし
た・・」と始まりますが、これの設定は神西清さんの生活歴に重なるようです。
北海道では、北海道大学図書館に勤務していたとあります。東京に戻ってからは、
ソ連通商部に勤務することになるのですが、小説のなかでは「白金今里町にあるJ国商務
館」となっています。