最近の読書から 5

 本日、手元に届きました「本の雑誌」12月号を見ていましたら、一番最後のページで
にやりです。編集発行人である浜本茂さんが、東京堂で本を手にして大きな独り言を
発したのを、目撃されたという情報(佐久間文子さんからの)へのコメントでありま
した。
 その時に手にしていたのは、どのようなものでどうして大きな独り言を発したかと
いうことについての種明かしの文章であります。浜本編集発行人の文章から引用。
「私がそのとき手にしていた本は『満州浪漫 長谷川濬が見た夢』(藤原書店)という
新刊だったのだが、言い訳させてもらうと、著者の大島幹雄さんは『アートタイムズ』
という雑誌を発行していて、この雑誌は毎号私宛にくれるのである。そういう事情が
あるので、送ってくれるかもしれないから、いま買わないでいたほうがいいかも、
という判断が脳内でなされたわけで、送ってほしいと思ったわけではありません。」
 そこそこ値段の高い本でありますので、もし送られてだぶりになったらどうしようと
思って、しばらく買うのを控えたというのが、この文章なのですが、もちろん当方が
にやりとしたのは、浜本さんが「長谷川濬」さんについての本を話題としているから
であります。
 以前にも話題としたことがありますが、浜本さんと長谷川兄弟は函館つながりであ
りまして、郷土愛が強い浜本さんは、長谷川兄弟に強い親近感を抱いている(そう思い
たい。)のでありますね。( http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20090525 )
 「満州浪漫」というのが気になるのは、当方が小学校時代を過ごした札幌近郊の
開拓地(1960年頃のこと)に入植の方々のほとんどが満州からの引き揚げ者であった
からかもしれません。その方々が、日本のどこから満州のどこに開拓にはいったのか
はわかりませんが、敗戦によって日本に引き揚げてきたあとに、集団であちこちに開拓
に入ったところの一つでした。敗戦から15年ですから、戦争はちょっと前の現実であり
ました。
 こちらは小学生とあって、満州の暮らしについての話を聞くこともなしでありました
が、その開拓地の雰囲気は、日本の農村というのともちょっと違ったものであったよう
にも感じたのでした。