最近買った本 3

 当方は大阪が親戚ではあるのですが、大阪不案内でして、大阪人にとってはあたり
まえのことが、当方にはまるでぴんときていません。
 以前には大阪発のドラマがありまして、それは船場あたりのあきんどものであったり
しましたが、船場という地域の話であるとはわかるものの、それがどのあたりである
のかというのは理解ができておりませんでした。(いまでもそうです。)
 そうしたドラマにでていた役者さんに高田次郎さんがいて、いまほど検索をしてみま
したら、高田さんのウィキには花登筺とか「細うで繁昌記」というのが登場しました。
68年頃のことでしょうか。当方はその時代にテレビを見る習慣はなかったのですが、
再放送などでちらっと見たことがありました。いくつかの番組がごっちゃになってし
まっていますが、園佳也子とか高田次郎など使用人が、新珠三千代扮する商家の若
おかみをいびって、そのうちに一人前のおかみに育てるというような話でありました
ろうか。( そんなに単純ではないのですが、ひと目で善玉、悪玉の見分けがついて、
ほとんど水戸黄門の世界であります。)
 今回の天神さんの古本市で購入した「細雪」を上本町のホテルで手にしていましたら
小説の冒頭のところで、次のくだりが目にはいりました。
「蒔岡の家が全盛であったのはせいぜい大正の末期までのことで、今ではその頃のこと
を知ってゐる一部の大阪人の記憶に残ってゐるに過ぎない。・・営業の整理縮小が
行はれ、次いで旧幕時代からの由緒を誇る船場の店舗が他人の手に渡るやうになった・
・・此の二人は、上本町九丁目の本家から、阪急蘆屋川の分家、幸子の家の方へ」
 船場の蒔岡家は、店を閉じてから上本町九丁目に転居して、本家を構え、そこの
分家が蘆屋川というのは、大阪の商家の住居のうつりかわりの典型であるので
しょうか。
 上本町の宿から四天王寺古本祭り会場へと歩いていくときに、上本町九丁目あた
りを通りましたが、そのときに、このあたりは大阪の住宅地としては土地の値段が
高いところと教えられましたが、「細雪」の本家は、あのところにおかれていたの
ですね。「大阪が親戚」としては、どうしてもこの作品は読まなくてはいけません
です。