従軍日記 3

 このブログの材料さがしのために新刊などを購入しますと「まえがき」「あとがき」を
ぱらぱらとのぞいて話題とし、本文はほとんどみることもなしとなってほっておかれる
ことが往々にしてありです。この「従軍日記」の解題を担当した小林真二さんは、その
へんの事情を、とっくにご存知であったわけであります。
 十蘭が従軍した経緯について、当方は興味があるのですが、これについて「解題」には
「十蘭が南方へ従事するにいたった経緯は現段階では未詳である。」とあります。
その上で、それまでの経歴や日記中の記載から手がかりを見いだすことができるとあっ
て、いくつかをあげています。
 その一つは「翼賛文化団体の役員に就任」したことで、ついでは「中国従軍」した履歴
があることとありました。この中国従軍は、博文館から派遣されてのものだそうで、この
博文館というのは、「新青年」という雑誌の版元である出版社です。
戦時中というのは、雑誌なども取材のために作家等を戦地に送り込んで現地ルポを掲載
することがあったのですね。
 この南方への従軍というのが、これと同じであるのかどうかであります。どこからの
依頼による南方行きであったのでしょう。