従軍日記

 本日は敬老会がありまして、それに出席をしてきました。
 アトラクションとして「大正琴」の演奏がありましたが、聞く人たちにあわせた
曲目というか演奏する人たちにあわせた選曲となっていました。本日の演奏された
曲で一番新しい曲は「北国の春」でしょうか。
戦後の歌謡曲が中心でしたが、おまけとして軍歌なども用意され演奏されましたが、
本日の出席者にとっても兵役につかれた人はごく少数であるようです。
演奏の最後は「海ゆかば」でありましたが信時潔さんによるこの曲を生で聴くのは
ほとんどはじめてのことでしょうか。当方は、久世光彦さんの文章と阪田寛夫さん
の文章によって、この歌への認識をあらたにしているのであります。
 それはさて本日に話題とする「従軍日記」は、以下のものです。

久生十蘭「従軍日記」 (講談社文庫)

久生十蘭「従軍日記」 (講談社文庫)

 今回、本屋でこの文庫本を手にした時には、本当に驚きました。5年前にこれの
元版がでていることを知らなかったこともありますが、それにしても、このような
本が売れない時代に久生十蘭の「従軍日記」が文庫に入るというのは英断でありま
すね。これが普通の講談社文庫となるのであれば、他の作品も文芸文庫ではなくて、
普通の講談社文庫でもいいのにと思いますが、講談社文庫と文芸文庫では役割が
違うのですから、そうはいかないか。
 今回の「従軍日記」は、印税でもって作者の生計を維持しようという目的はない
のでありますから、定価は抑えることができますし、使用されています用紙も文芸
文庫よりも安価なものが使われています。この文庫でも何十年かは読み継ぐことが
できますでしょう。
 この本は函館市文学館の企画展「「函館『不良文学』は元町育ち 長谷川海太郎
久生十蘭水谷準」というのがきっかけとなった誕生したとのこと。この企画展
長谷川四郎さんの名前があれば、足を運ぶところでありましたが、これは残念。