月がかわって 2

 こちらの小中学校は、8月のお盆が過ぎれば学校は始業式をむかえます。その分、
冬休みが長いのでありますが、夏も冬も学校が休みとなるころには子どもたちは
自由研究という課題に悩まされます。当方が小学生の頃には、夏休み帳なるものが
あって、それ一冊をかたづければ、とりあえず宿題はおしまいで、あとはあそび
放題でありました。子どもたちがやっつけで作った工作物などが、いまだに残って
いたりして、それなりに意味があったのかもしれません。
 そういう課題には、本を読んで感想文を書くなんてのもあったのかもしれません
が、これにはあまり思い出がありません。
 さて、当方の九月でありますが、読書のほうは加賀乙彦さんの「雲の都」を読み
ついでいきます。あいかわらずでペースがあがらなくて、やっとこさ第二部に
はいったところですが、九月末にはどこまで進んでいるでしょうか。
 昨日に読んだところに次のくだりがありました。
「1951年六月中旬の日曜日の朝、一団のセツラーが亀有駅前から大山田地区にむかっ
て歩きだした。」
 このとき、当方は生後4ヶ月であります。歴史の年表でみるのとはちと違って、
小説の主人公が生きた時間と、自分の時間がオーバーラップすることです。
もちろんこの時代は、朝鮮戦争による特需で日本が戦後復興を加速するのであります
が、戦争による恩恵を受けて経済発展を遂げたというのが戦後日本の成功体験の
はじまりであるとすれば、経済発展で苦戦する現在、夢よもう一度と思っている
人たちもいるのでありましょう。