小沢信男著作 49

 小沢信男さんの映画評「東京シネマ街」にある「UFOとユートピア」の冒頭から引用
です。
「もし一人だけ好きな監督をあげるとするなら岡本喜八、脚本家なら倉本聰。この二人
のコンビで作られた映画なら、これが見ないでいられるか。そこで見た。『ブルー・
クリスマス』。仲代達矢岡田英次田中邦衛草野大悟大滝秀治などの、これまた
好きな役者がずらずらでてくる豪華キャストだ。時は1978年の日本が舞台だが、
ニューヨークもパリも出てくるし、たっぷり金もかかってかかっているようで、二時間十
分たっぷりみた。
 そしていま、当惑している。映画はこれでいいんだろうか。これは才能とお金のムダ
遣いというものではあるまいか。」
 小沢信男さんが一番好きな監督が、岡本喜八さんであるとは知りませんでした。78年
時点でのことですが、それから後に、これ以上となる監督は現れたでしょうか。
 78年に倉本聰さんのことをこれだけおすことができた人は少なかったのではないで
しょうか。倉本さんは、その時点では玄人筋には評価されていたでしょうか。あくまでも
テレビ業界での話でありまして、映画の世界ではほとんど実績なしですからね。
 ひいきのお二人が組んで映画を作りましたら、どんなにすばらしいものが出来るのか
と興味津々となるのですが、役者もずらっとそろっているのに反して、「ブルー・
クリスマス」という映画はほとんど話題にならなかったのではないでしょうか。