「図書」2月号より

 岩波書店の「図書」2月号が届きました。これの連載物では楽しみにしているものが
いくつかありますが、佐伯泰英さんの「惜櫟荘だより」は十回目で、相変わらずで
快調です。今回の話題は、スペインに滞在して在欧の写真家として活動をしていた時代
のことですが、岩波茂雄が自ら別荘とした「惜櫟荘」を入手して、平成の大修理を施す
佐伯さんが私財を投じて修理をするドキュメントと、自らの在欧時代の経験がクロス
します。
 今月のタイトルは「詩人と彫刻家」とあります。詩人は田村隆一さんで、彫刻家は
高田博厚さんのことです。高田さんの娘さんは、田村隆一さんの奥さんとのことです。
田村隆一さんの世界には不案内でありますが、そういわれればそのことを聞いたことが
あったように思います。あとは田村さんがアル中であったことも。
 写真家の佐伯さんが田村隆一さんとともに制作した平凡社カラー新書のウィスキーの
取材のためにスコットランドを旅行するのですが、これは詩人56歳の時だそうです。
 この時の詩人は、現在の当方よりも若いのかと思いつつ、この文章を楽しみました。
 大修理の報告は、やっと基礎工事が終わりそうなところですが、とんでもなく大変な
場所での工事でありまして、この大修理はほとんど文化財保護の使命感を帯びている
としか思えません。