新聞読書欄の「この3冊」を見ての楽しみは、自分が読んだり、関心をもっている
書き手の作品が取り上げられているかということにありますが、もう一つは、こういう
ところでとりあげられていなくては読まないような人の作品を手にすることであります。
まだ未読ではありますが、辻原登さんの「闇の奥」なんてのは、出て直ぐには読まない
ものの、間違いなくそのうち読むのが決まっているのであります。1冊百五円になって
いたら、明日にでも読むのにです。辻原さんは、普通に会社員をやっていて45歳から
作家デビューしたのですが、それからの旺盛な活動にはめざましいものがあります。
最近は、当方の読書のスピードが追いつかずで、最近の作品は、いまだに読めており
ません。大逆事件に題材をとったものか、この「闇の奥」かどちらを先によみましょう
かと考えるのが楽しい。
辻原登さんには、書評を軸にした単行本があるのですが、小説読みとしても一流である
と思っています。「この3冊」で辻原登さんがあげている1冊は、次のもの。
- 作者: 金原ひとみ
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/12/25
- メディア: 単行本
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で、自分の親ににくしみを感じていて、その自分も親となったしまったというような
文章をのせているのを見ました。大学教員の感受性が強くて、不登校となった娘が、
親のすすめで小説を書くようになったのであろうくらいに思っていた、当方は、この
新聞記事を見て、すこし驚き、認識をあらたにしました。
そうした時に、辻原登さんの「金原ひとみ」さんの作品に対するコメントをみたわけ
です。
「『TRIP TRAP』 小説は何といっても、金原ひとみの天性とも思える言語センスが群
を抜いていた。なんとも過激な、しかし心鎮まる一人の女の成長物語だ。」
「TRIP TRAP」というタイトルからは、北原白秋の「フレップ トラップ」を連想しま
す。稀代のセンスの北原白秋からタイトルをとるところなぞ、恐れを知らない若い人
ならではです。
「心鎮まる一人の女の成長物語」でありますよ。親の期待を裏切って、自分の道をゆく
金原さんの成長に、天下の進学校を卒業して、そのまま社会にでてしまった自分を重なり
あわせているようにも思えることです。