続「湯川共和国」 12

 今年もあと40数日となりました。ことしはずいぶんと湯川成一さんと湯川書房
関する話題があったようです。(まだ、すこし早いのですが、今年の回顧のような
話となります。)
 一方では、ipadとかキンドルというツールを使って読まれることを前提とした作品
の制作がはじまったと報道されています。これまで刊行された書籍であっても、
デジタル化を引き受ける業者さんが話題となっていました。綴じているのを断裁。
ばらばらにして、一枚ずつスキャナーしてから電子ファイルとするのですが、これに
よりものとしての本は姿を消して、作品はすべてデータとして保存されます。
 本の置き場所に苦労している人には朗報ですが、これが将来の本の姿でしょうか。
ばさっと切り落とされる表紙などを見ておりますと、形のある本が好きな当方には、
とてもつらいものがあります。
 これからの出版というのは、数ものはほとんどが本の形にはならずに、ダウンロード
ということで販売されるのでしょうか。これまで、近々にそういう時代がくると言われ
続けてきましたが、これまではまだまだと思っていたのに、このようにipadが話題に
なりますと、いよいよ印刷された本は苦しくなるなと思われました。
 湯川書房は、活字とか和紙にこだわった本を限定本としてだしていましたが、
このような素材へのこだわりは、ファイルにしますとそのオーラが消えてしまいます
ので、電子書籍の時代にあっても限定本は紙で生き残るのでしょうが、それにしても、
印刷本が限定本のみになりましたら、とんでもなく淋しくなるでしょうね。
 湯川書房の限定本を通じて、仲間が増えたり、結婚したりということが話題となる
のが「湯川共和国」であります。こういう人と人の関わりが、電子書籍でも起こる
のでありましょうか。