古本屋のおやぢ 2

 関口良雄さんの「昔日の客」を手にしたおかげで、ひさしぶり上林暁全集を開くこと
になりました。筑摩書房からの増補版上林暁全集(19巻)は、刊行中に筑摩書房が会社
更正法の適用となり、会社再建下において完結にこぎつけたものです。会社更生と
なったときに、社員の人たちが知人ルートでセットもののディスカウント販売を行った
のですが、その時に紹介してもらって、この全集を購入しました。更正法になったのは、
78年7月とありますので、そのあとのことですね。ほしくても購入することができな
かった「上林暁全集」を既刊分をセットで購入し、そのあと増補分については定価で
購入したように思います。ちなみに最終の第19巻は80年12月となります。
 購入時に当方は20代でありました。積読で30年もねかせますと、まったく当方の
年齢でも違和感がなくなります。

 ちなみに、ここで関口さん、上林さんの生年の整理をしてみます。
 上林 暁さん 1902(明治35)年10月6日生まれ
 関口良雄さん 1918(大正7)年2月11日生まれ
 当方は    1951(昭和26)年2月生まれ  (これは余分かもしれませんが)
 
 関口さんは、「昔日の客」を1977(昭和52)年「還暦を間近にしてその出版を思い
立った」と息子さんのあとがきにあります。還暦というのは、そういう思いにさせる年で
あるのですね。
 一方の上林さんは、全集の年譜をみますと1962(昭和37)年のところに、次の記述が
ありです。(このときに上林さんは61歳となっています。)
「 十月、友人・知己、家族より還暦の祝ひを受ける。
  十一月四日、 五高以来四十年ぶりの九州旅行を直前に、近くの銭湯で脳出血再発で
  倒る。河北病院に入院。熊本、長崎の図書館での講演、天草版『天草土産』の出版や
  ラジオ・ドラマ化の相談など、心待ちにしてゐた旅行であった。」 
 昨日引用の文章に、関口さんが初めて上林さんのところを訪問したのは、「昭和36年
11月3日」とありましたので、最初にお会いしたときは、上林さんはまだまだお元気で
ありました。