関西で購入した本

 今回の旅行では、駆け足で古本屋さんを何軒かめぐってきました。新刊を扱う書店
には、結局いかずじまいでありまして、これまでの旅行では考えられないことです。
京都に足を運んで三月書房に立ち寄らなかったこと、BALビルまでいってジュンク堂
寄らなかったことなど、すこし新刊本との関係が冷めていたかな。
 9月の新刊で気になっていた本は、確保を頼んでいて、それらは京都についてすぐに
受け取ることができましたので、そのことがなければ、それの確保のために新刊本屋に
足を運んだことでしょう。
 それというのは、次のものであります。

近代日本の文学者の型 (加藤周一著作集)

近代日本の文学者の型 (加藤周一著作集)

 これの帯には、「著作集全24巻完結!」とあります。これに続いては、次のように
あります。
「 森鷗外斎藤茂吉・木下杢太郎に自らの自画像をさぐり、近代日本の文学者の型
を追究した記念碑的な一冊。本書で描かれた驚くほど多彩な文学者の姿は、『日本文学
史序説』の近現代編であり、著者独自の近代文学史を形成する。」
 この号がでて一番ほっとしたのは、編集にあたった鷲巣力さんでしょうか。
これまでの巻のあとがきは、すべて加藤周一さんが書いていたのですが、この巻への
あとがきは書かれていなかったということで、鷲巣さんが「あとがきに代えて」を記して
います。
「第二期著作集の完結をもって、ほぼ1997年までの著作が『加藤周一著作集』に収め
られたことになる。加藤の著作活動はその後も続くが、現時点では、1998年から2008
年の、つまり最晩年の十一年の著作を第三期著作集として編むかどうか、平凡社は結論
を出すにいたっていない。(なお同時期の著作は岩波書店刊『加藤周一自選集』第9巻
及び第10巻が収める)第三期著作集が編まれないことになれば、それはいかにも残念で
ある。」
 鷲巣さんは、自らが平凡社に在職した時から担当した著作集が、一巻を残して退職と
なったことが無念で、なんとか完結させようと努力を重ねていたのでしょうが、結局
完結したのは、加藤周一さんが亡くなるのを待たねばいけませんでした。その一方で、
岩波書店では鷲巣さんが編集実務を担当する「加藤周一自選集」が刊行となるのです
から、内心忸怩たるものがあったでしょう。
 この「あとがきに代えて」からは、なんとかして「加藤周一著作集第三期」を刊行
させたいという鷲巣さんの思いが伝わってきます。
加藤周一著作集第三期が現実のものになるかどうかは、今回の「著作集の全巻セット」
がどのくらいの販売を記録するにかかっているのでしょう。(今回のセットには、
第一期15巻の付録としてついた巻は含まれていないようです。)
 今はこのセットがたくさん売れることを願うだけです。