ブルータス30周年 4

「ブルータス」30周年特集号は、「ポップカルチャーの教科書」とありますので、
全体としては「ポップ」がテーマとなりますが、この特集の目次にあたるところで、
次のように書かれています。
「 ブルータスがこの30年間、夢中になって追い求めてきたモノの正体は、その時
代、その時代のポップカルチャーと呼ばれたつかみどころのないモノだったのかも
しれない。ではそのポップカルチャーとは一体、何モノなのか?そろそろ答えを
出してもいい頃だ。この30年間の様々なカルチャーを腹の底から楽しんだ23人が
語る、私的カルチャー論。これが答えだ。!」
ポップカルチャー」についての厳密な定義があるわけではありませんので、23人
もの方が語ることになりますと、相当に多様な内容となります。「ポップ」なのか、
「サブ」なのか、はたまた「カウンター」なのか、従来からの旧制高校的な
「カルチャー」に対して、ヨーロッパ由来ではなく、アメリカ合衆国に由来する視
点による文化の捉えかたということにでもなるのでしょうか。
 この特集の冒頭にある川勝正幸さんの「ポップ中毒者の30年史」は、「私的な
年表」が軸になっていますが、この年表を作成するにあたっては、2種類の
「ポップ」をあえて混在させているとあります。
それは「ポピュラーやポップスなど『大衆的な』という意味でのポップ。そして、
アンディ・ウォーホルがキャンベルのスープ缶など、アメリカのスーパーに並んで
いる商品のパッケージをシルクスクリーンに作品として提示した『ポップアート
のポップ」だそうです。
 この視点から、年表を作成したときに80年の最初に置かれるのは、次の二つです。
「 80年 鈴木清順が、荒戸源次郎のプロデュースにより『ツィゴイネルワイゼン
を監督!
 湯村輝彦画+糸井重里作『情熱のペンギンごはん』月刊漫画ガロの連載が単行本化」
 この二つともに縁のない人は、とりあえずポップカルチャーに距離があるという
ことでしょう。当方はかろうじて、「ツィゴイネルワイゼン」を劇場で見物した記憶
が残っています。この作品の原作は百鬼園先生でありますからね。