これから読む本

 当方の場合は、買った本のほとんどは未読であるわけですから、「これから読む本」
というに、何回か生まれ変わっても読むものに困ることはなさそうです。
 積読本の大半は、ブックオフで百五円で入手したものですが、これは読むことはない
かもしれないが、とりあえずおさえておこう、いつか使うことになるかもしれないと
いうものと、できるだけ早くに読もうと思って購入するものの二つに大別されます。
結果としては、どちらも積読になってしまうのですが、違うのはとりあえずおさえて
おこうというものは、すぐにダンボール箱にいれられて目にふれなくなるのですが、
読もうと思っているものは、それから数ヶ月は手近なところに置かれるところで
しょうか。
 そうこうしているうちに、手近なところが山となってしまいますので、読もうと
思っていたものの、あえなくダンボール箱におさめられてしまいます。
ほぼ、これの繰り返しでありまして、このようにしてダンボール箱だけがたまって
いくこととなります。
 かっては、普通に文庫本に収録されていたものたちが、いまはすべて入手困難と
なり、復刊されることもなしで、新刊としてでるのは「文芸文庫」のようなプレミアム
シリーズでということが多いようです。普通の文庫であれば7百円くらいのものが、
プレミアム文庫では、ほぼ倍の値段になるわけですから、これは購入を躊躇して
しまいます。ちょっとさがせば、かっての一般文庫にはいっていたときのものが、
見つかったりするのですから、プレミアム文庫もたいへんです。
 あまりなじみの無い作家などのものとふれあうには、時間的な余裕があれば
「図書館」から借りるというのもありですが、なにせ読まないのですから、読ま
ないのに図書館から借りてもダメであります。
やはり、このような場合にはブックオフの棚が役に立ちます。
 今年、このようにしてお近づきすることになった作家に、佐藤正午さんがあり
です。佐藤正午さんというと、なによりも野呂邦暢さんつながりとなります。
今年の菖蒲忌のころに記したのですが、佐世保に住んで作家活動をする佐藤さんと、
諫早に住んで作家活動をした野呂さんには、九州生まれで、一時期北海道で暮らし、
地元に戻って作家を志し、地元に住み続けるという共通点があります。
「豚を盗む」というエッセー集が、当方が購入した一冊目でありますが、佐藤さんの
エッセー集には、ほとんど野呂邦暢さんへの言及があって、そのためだけに購入して
しまうのでした。
 たとえば、「ありのすさび」に収録の「ん?」という文章にある、次のくだりの
ような。
「作家の文体に惚れるという意味では比喩を大げさに用いれば、僕は野呂邦暢とは
同棲のあげくに結婚寸前まで行った仲なので、大概のことは判ってやれるつもりで
いるのだが、『南島行』はどう見ても気合の入った作品とはいえない。」
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