まどさん百歳3

 ここでは、まどさんについて書くというよりも、阪田寛夫さんの著書「まどさん」を
話題にするということのようになってきました。阪田さんは、ご自身が新しい童謡
作りに取り組んでこられた人ですから、「まどさん」を書く人として最適のお一人なの
でしょう。
 阪田寛夫さんは、ちくま文庫「まどさん」のあとがきで次のように書いています。
「 私はまどさんが絵を描いていることを初めて知って驚き、その絵を見て一層
驚いた。まるいかたちが、画面一杯三重、四重に分厚く塗り沈められていて、何とも
いいようがない。
 今は、あれがまどさんの宇宙観ではないかと思うが、五十代半ばだった『ぞうさん
の作者のどこに、こんな暗い、底知れぬ思考をつきつめる精力があったのか、そして
何がいまこの人を導いているのか、見ているうちに驚きが恐れと入れ替わった。・・・
 それから先の、まどさんを尋ねもとめての歩みは、作品に書いた通りだが、昭和
五十六年秋に聞き書きを始めたときには、こんな長いものを書こうとはまた書けよう
とは思わなかった。」
 聞きはじめて3年が経過し、第一稿ができたのが昭和59年12月とあります。
これからでも25年がたっています。

まどさん (ちくま文庫)

まどさん (ちくま文庫)