1909年というのは文学者のあたり年といわれています。松本清張、太宰治、
大岡昇平、長谷川四郎、埴谷雄高などですが、こうした面々は、すでに亡くなって
います。健在で百歳を迎えたのは「まど・みちお」さんだけであります。
文学者で百歳を超えた人では、誰がいたでしょうか。ほとんど思いあたらないの
ですが、あとすこしで百歳というのは、次のかたでありました。
野上 弥生子(のがみ やえこ 1885年5月6日 - 1985年3月30日)
高杉 一郎(たかすぎ いちろう、1908年7月17日 - 2008年1月9日)
野上さんは亡くなる直前まで小説を書いていましたし、高杉一郎さんもテレビ
取材を受けていたのを見た記憶があります。
その昔には、美術の分野において、以下のような人が百歳をこえて活躍していました。
平櫛田中 彫刻家 (ひらぐし でんちゅう、1872年2月23日 - 1979年12月30日)
奥村 土牛 日本画家(おくむら とぎゅう、1889年2月18日 - 1990年9月25日)
小倉 遊亀 日本画家(おぐら ゆき、1895年3月1日 - 2000年7月23日)
今では健在な百歳は珍しい存在ではありませんが、ほんの30年前には、百歳まで
たどりつく人は、きわめて稀な存在でありました。
そのような時代に百歳となった「平櫛田中」さんは、百歳となったときに、それから
30年ほどの制作が可能となるほどの木材を確保して、話題となったことを思い浮かべ
ます。平櫛さんは、まさに超人的でありまして、103歳まで彫刻家の現役でありま
した。
ほんとに、長生きするのも芸のうちであります。
平櫛さんという先人とくらべた時、まどさんはまだまだこれからであります。
阪田寛夫さんの「まどさん」の書き出しは、次のようになっています。
「 子供の時からの名前ではない。今から五十年ほど前につけた筆名だ。まだ詩人が
一目みれば詩人だと弁別できた時代の名残が、ひらがなの配置や真中の点あたりに
ただよっている。」
「まど・みちお」さんというのが、詩人の名前になるのですが、はてなの登録は、
「まどみちお」さんで中ぽちがついていないのでした。