最近の新聞から

 9月18日 朝日新聞の声の欄をみておりましたら、次のような投書が掲載
されておりました。投書されたのは、藤沢市に居住する男性、74歳。
「 著名人の墓『無縁仏』化 残念 
 先日、巣鴨の都立染井霊園にでかけた。いつものように歩いていると、
岡倉天心の墓の隣にある厳本家の墓地に白い札が立っていた。最近、お寺の
墓地や霊園でよく見かける公告、つまり『このお墓は所有者が不明のため、
○月×日までに申し出が無ければ、無縁仏として改葬します』というものである。
 この墓地の主な故人は、教育家の巌本善治、作家で翻訳家の甲子(若松賤子)、
バイオリニストの孫・真理の各紙である。それぞれ文化的に活躍し、人名辞典
にはたいてい乗っている著名人である。
 若松賤子は明治29年没、巌本善治昭和17年没なので時間は経過しているが、
巌本真理は昭和54年没だから30年しかたっていない。そうした人のお墓が処分
されるというのは残念に思う。・・・文芸・音楽関係者や都・区などで何とか
保存する方法は考えられないものだろうか。」
 若松賤子訳 「小公子」 岩波文庫は小生好みの一冊で、岩波文庫80年を
話題としたときにも言及したものです。今回、あらためて検索をしてみたので
ありますが、今年の二月の「豊島新聞」には、巌本善治さんの曾孫さんがなんて
記事があったように見えましたので、巌本さんについては、無縁にならずに
すむのではないかという感じを受けています。
 それにしても、明治女学校というと、いまはなくなってしまいましたが、
明治の女子へのクリスチャン教育のさきがけ的な学校でありました。この
学校は途中で廃校してしまっているのですが、野上弥生子とか相馬黒光など
そうそうたる人材を輩出しているのでした。
 明治の女子教育というのは、教育機関がいくつもないので、女子教育のために
尽力した方は、それなりに顕彰されているのでした。
巌本善治さんとほぼ同時期に女子の学校をおこした人に鳩山春子という方が
いらっしやいました。共立女子大学をおこした人ですが、この学校は現在にも
つながっていて、この方の曾孫さんは、とうとう総理大臣となってしまった
のですから、こちらは無縁となる可能性はないでしょう。巌本家と鳩山家の
この百年のことをつくづくと思ってしまうことです。