学問の春

 本日はすこし気分がめいることがありましたので、昨日とは話題をかえて
最近入手した本のことであります。

新書479学問の春 (平凡社新書)

新書479学問の春 (平凡社新書)

 この本のことは新刊案内で見ていましたし、ちょうどこの講義録のもとに
なった授業をうけていた姪からも連絡がはいっていましたので書店にならんで
いたのを、見つけてすぐに購入としたのです。
 むしろ驚いたのは、ブックオフで見かけて入手した以下のもの。
独断的大学論―面白くなければ大学ではない!

独断的大学論―面白くなければ大学ではない!

 山口昌男さんの著作については、ほとんど手にしたことがあると思っていま
したが、このようなものがあるとは思ってもみませんでした。こちらの本は
2000年10月の刊行です。97年に札幌大学文化学部の学部長となって、
99年に学長となり、その翌年の著作ということになります。
 もともと、山口昌男さんが管理にむいている人とは思えませんので、学長と
なるとまわりは大変であるなとしがないサラリーマンである当方は思いましたが、
短い任期ですが、当方のような部外者にはとっても魅力的な知の空間になった
ように思います。結局はそのことが学内の味方を減らし、敵を増やすことと
なったのでしょう。
 この「独断的大学論」の帯には、大学は遊園地でいいとか、中央集権が教育を
だめにするなんて刺激的な言葉がひかれていますが、この本のなかにある、
次のくだりは、山口学長のその後についてずばりでありまして、いかに確信犯的で
あったかということを知らされます。
「私を知る人間は、私が札幌大学で勤まるとは誰も思っていませんでした。世界を
飛び回っている山口が、札幌に落ち着いているわけがない、と。
 なりゆきで札幌大学に行くようになったとき、友人の種村季弘氏や映画監督の
チェ洋一氏にはこういわれたものです。
 だまされるというのも人間の能力の一つだから、おまえがだまされて札幌大学
行くのはそれでいい。しかし、ヒステリーをおこして、おれはこんなところは辞め
たとエリート意識を出してやめてしまうというのはいちばんみっともないことだ。
とにかく、おもえはスキャンダルで辞めさせられるというのが、いちばん格好の
いい辞め方だから、理事長にケンカを売り、それでクビになるというのがいちばん
いい。いったからにはブツクサいわないで、とにかくケンカする方向にもっていけ。」