岩波文庫の5月新刊で「久生十蘭短編選」でました。最近は、昔と雰囲気の違う
岩波文庫がでたりしますが、小田実の作品は、まあなんとかわかりますが、久生十蘭と
いうのは、まったくの予想外であります。よく、この企画が通ったものであります。
そのむかしであれば、岩波文庫に現存中はいるとなるとんでもなく名誉ということに
なったのでありましょうが、そのような著者がいたとしたら、久生十蘭がはいるので
あれば、自分の岩波文庫版は絶版にしてもらいたいというような話になったのでは
ないでしょうか。
昔の久生十蘭のあつかいは、教養文庫(今は亡きです。社会思想社刊)か中公文庫
でありましたからね。教養文庫の牧逸馬、小栗虫太郎などのものがシリーズででて
いたのは圧巻でありましたね。
あの時代(70年代でしょう。)には、久生十蘭を岩波文庫で読む事ができるとは
思ってもいませんでした。
- 作者: 久生十蘭,川崎賢子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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わたしにとっての久生十蘭というのは、なによりも中井英夫作品の登場人物に重
なってくるのでした。
中井英夫の代表作である「虚無への供物」の冒頭のところで、久生十蘭のことがでて
きて、あわせて「虚無への供物」という作品が函館つながりとわかるしかけになって
いるのです。久生十蘭は函館出身でありますが、中井英夫の曾祖父くらいの妻となる
人が函館出身のように描かれていて、中井英夫と久生十蘭は函館つながりとなって
います。
( さきほど、「虚無への供物」からながながと引用をしていまして、終わって保存と
いうボタンをおしたところで、文章が消えました。いったいこれはどうしたことで
ありましょう。さすがに、本日はこれを続ける気分にならずで、また明日続けることに
いたします。)