芥川賞と名作 2

 芥川賞を受賞した作品が掲載される「文芸春秋」だけは購入して、受賞作だけは
読むようにしているという人がいるでしょうが、芥川賞を問題にしているのは、
文芸春秋社を別にすれば、日頃あまり小説を読まない人たちでしょうか。
 朝日新書についている歴代の受賞者と候補者を掲載したリストを目にして、いつ
から受賞作品を読んでいないのかと、首をかしげています。たぶん、受賞作が単行
本となったときに購入したものは、辻原登さんの「村の名前」が最後であるよう
です。辻原さんのその後の活躍を考えると、この方に賞をおくったのは間違いとは
いえませんが、平成2年上半期の、他の候補は次の面々です。
・ 佐伯一麦 「ショート・サーキット」
・ 奥泉光  「滝」
・ 清水邦夫 「風鳥」
・ 小川洋子 「冷めない紅茶」 
・ 荻野アンナ「スペインの城」   
・ 河林満  「渇水
 ちょうど、この時から20年がたっていますが、この時は、激戦であるようで、
この回で、芥川賞を受けなかったのは、佐伯さん、小川さん、河林さんの3人で
ありまして、佐伯一麦がなぜ受賞しなかったかは、本当にうまく説明できない
ことであります。