今年は、仕事がそこそこ忙しかったこともあって、本は買うのがやっとで、
あんまり読むことができておりません。ブログの話題を確保するために、
本についてのものとか書評をまとめた本などを手近において、参考にしていま
した。今年のおすすめ本ということになりますと、そうした小生のねた本で
あります。
たとえば、次のような本たち。
・ 本の狩人 読書年代記 山口昌男 右文書院
[rakuten:book:13054454:detail]
山口昌男の専属編集者(偏執者かもしれない。)とも思える、川村伸秀に
よる労作。川村のおかげで、山口昌男は病に倒れても、現役の思想家でいる
ことができる。川村による注、書誌一覧、人名索引どれひとつとっても
脱帽ものです。
![文学鶴亀 文学鶴亀](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41407vFzUOL._SL160_.jpg)
- 作者: 武藤康史
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2008/02/01
- メディア: 単行本
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二段組で330ページほどで、はじめて目にする文章ばかりで、これは
お得であります。旧かなづかいについての文章、CDブックについてのものなど
参考になることです。武藤康史さんのこの手の文章はなかなかまとまらない
ようでありますので、いまのところベストオブ武藤康史であります。
・ 新・文学入門 岡崎武志と山本善行 工作社
野球では松坂世代という言葉がありますが、本の世界では58年生まれの
前後にタレントがそろっています。小生が一番最初に注目したのは坪内祐三
さんでありましたので、坪内世代といってもいいのかもしれません。
坪内さん、武藤さんのお二人は、どちらかというと、学者または批評家という
路線であるとすれば、このお二人は「本漁り師」であって、プライドが低く
見えるところに好感を感じます。
もちろん、きちんとした批評を書くことができるようであるのは、すこし
ずつ見えてきています。スタートはジュニア小説であったが、いまは本格派と
いうような路線を走っています。
このお二人が喧伝して困るのは、古書価があがることで、いいのは復刊する
とか、版元をかえて刊行されることです。ともに関西出身でありますが、いま
でも京都に居を構えて活動している山本さんを応援しましょう。
( この本にもちょっとありましたが2年前?に京都へいったとき阪急百貨店で
やっていた山本さんの臨時古本店に立ち寄りました。智恩寺で古書市をして
いたときでした。会場では奥様が店番をしていまして、小生は中公文庫を
特集したSUMUSともう一冊くらい購入しましたです。)
岡崎さんには、ことし「雑談王」晶文社というバラエティブックもあり、
これも買わせていただきました。
![ぼくは散歩と雑学が好きだった。 小西康陽のコラム1993-2008 ぼくは散歩と雑学が好きだった。 小西康陽のコラム1993-2008](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51Dyg6j%2BdEL._SL160_.jpg)
ぼくは散歩と雑学が好きだった。 小西康陽のコラム1993-2008
- 作者: 小西康陽
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2008/03/07
- メディア: 単行本
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最近でバラエティブックという言葉が一番似合う人でしょうか。
もちろんミュージシャンです。一冊目の「これは恋ではない」は岡崎武志さんの
文庫本で紹介されて、ブックオフで半額で入手したものですが、まさに小生に
とっては新しい天体でありました。この人は相当の人であるなと思っています
ので、どのような本のことを取り上げて書いたとしても、驚くことはなくなって
いますが、「榛地和 堀内誠一 立木義浩」とならべた文章を書いて破綻しない
のが小西さんです。(それにしても「榛地和装本」を、新刊のときに店頭で
手にして購入しておくべきでありました。後悔さきにたたずです。)
小生の父母の世代は、ほぼ現役を退くか姿を隠し、同世代も村上龍が元気で
ありますが、あとは誰かすぐに浮かんでこず、しばらくは、坪内世代文筆家たち
に楽しませてもらうことにしましょう。
上記にあげた著者も、山口昌男さんをのぞくと、みなが坪内世代でありました。
最後にあげるのは、お元気に現役に復帰した吉田秀和さんの著作。
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読まなくても買うべしでありますし、読んでいなくてもおすすめできるという
希有な一冊であります。