銀花 第21号から

 「銀花」第20号は、1975年3月刊行であります。この雑誌は目新しい話題を
追うものではありませんので、いま手にしても時代がたっていることを、あまり
感じないことです。この号で紹介されている書物がありました。
「愛書狂の書いた本」というタイトルのものです。
「 谷沢永一著『署名のある紙礫 私の書物随筆』という本が十一月に浪速書林から
刊行された。この本は昭和44年から47年10月まで、百三十九回にわたり読売
新聞大阪版に掲載された『紙つぶて』と、三十五篇の『余白落書』からなる。その
内容は、良書の発掘を課題に、多岐多彩にわたる分野の書物について批判とエピソード
を織り交ぜながら博識を駆使して書かれたもので、『取り返しのつかぬ重症に陥った
本きち』と自認する著者の語る、本についての本となっている。愛書家に一読を
おすすめしたい。」
 この浪速書林から刊行された「署名のある紙礫」がでたときには、いくつかの
新聞の読書欄にとりあげられたように思います。小生が購入したのは、新聞の
紹介を見てのように思いますが、これによって、しばらくは谷沢永一さんの本を
出ると買うという状態が続いたのでした。
これを見たときには、版元が古本屋さんであるとは、まったく知りませんでした。
浪速書林さんは、すでに何冊か刊行の実績があったようですが、小生が購入した
のは、この本が最初で最後となります。
 「署名のある紙礫」は、その後数回にわたり装いをかえて刊行され、いまでも
入手が可能という「読書案内」の定番の一冊となっているのでした。