小沢書店「poetica」のこと2

 小沢書店「poetica」が特集形式をとることは、前回に記したところですが、
特集の内容等については、以下のとおりであります。

    発行      特集         特記 
1号 91年9月   小 川 国 夫  小川国夫全集の内容見本あり
2号 91年11月  篠 田 一 士  裏表紙に小沢書店の全集案内 
3号 92年1月   富士川 英 郎  裏表紙に富士川英郎の本の広告 
4号 92年3月   堀 口 大 學  裏表紙に堀口大學全集広告
別冊 92年4月   加 納 光 於  版型が大きく、作品集の見本
5号 92年5月   吉 田 一 穂  裏表紙に吉田一穂全集新装本広告 
6月 92年7月   柴 田 宵 曲  裏表紙に柴田宵曲文集の広告
7号 92年9月   磯 田 光 一  裏表紙に磯田光一著作集広告
8号 92年11月  小沢書店図書目録 裏表紙は双書20世紀の詩人広告
9号 93年3月   追悼 三好豊一郎 裏表紙に三好豊一郎の広告
 
 別冊を除いては、すべての号の表紙絵と表紙裏に掲載の詩は三好豊一郎さんの
作品が掲載されています。三好さんは詩人でありますから、詩がのるというのは、
わかりますが、絵のほうも玄人に近かったようであります。
 この特集のタイトルを見て感じることは、ほとんどは個人全集がでた人で
特集を組んでいたのですが、小生ひいきの篠田一士さんだけが、全集も著作集も
だすことなしで、このPR誌も小沢も終わったことで、小沢書店よりも早くに
篠田さんのほうが亡くなってしまいました。まったく残念なことでした。
 雑誌名の題字「poetica」というのについて、2号のあとがきで(H)さんが
次のように書いています。
「題字について、昭和49年、吉田健一氏の評論全集を刊行しました。書名を
決めるにあたり、氏に相談するにあたり、一言『ポエティカ』といわれました。
神保町のビヤホール・ランチョンの夏の昼下がりのことでした。私の名刺の
裏にサインペンで記してくださったのがこの表紙の題字です。18年間、抽き
だし中にいまわれています。」 
 「poetica」というのは、小沢書店からでていた吉田健一さんの評論集成の
タイトルであり、この吉田さんについて、小沢での特集がないのも、淋しいこと
であります。